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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme

Aozora Bunko

木枕に押しつけていた耳が痛むので、かれは頭をあげて匍匐いながら、枕もとの煙草入れを引きよせて先ず一服すおうとするときに、部屋の外の廊下で微かにかちりかちりという音がきこえた。紋作は鼠であろうと思って、はじめはそのまま聞き流していたが、やがて俄かに気がついた。せまい廊下には衣裳葛籠や人形のたぐいが押し合うようにごたごたと積みならべてある。疲れている一座のものは禄々にそれを片付けないでほうり出しているに相違ない。その何かを鼠に咬られでもしてはならないと思い付いて、かれは煙管を手に持ったままで蚊帳の外へくぐって出ると、物の触れ合うような小さい響きはまだ歇まなかった。

そのひびきを耳に澄ましながら、紋作はそっと出入り口の障子をあけると、かなり広い楽屋のうちにたった一つ微かにともっている掛け行燈のうす暗い光りで、あたりは陰ったようにぼんやりと見えた。そのうす暗いなかに更にうす暗い二つの影が、まぼろしのように浮き出しているのを見つけた時に、紋作は急に寝ぼけ眼をこすった。ふたつの影は石井兵助と赤堀水右衛門との人形で、それが小道具の刀を持って今や必死に斬り結んでいるのであった。