Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
いずれにしても、お浜と紋作とは仲がよかった。
紋作はすこし風邪をひいたというので、小さい長火鉢をまえにして、お浜にこの冬新らしく仕立てて貰った柔らかい広袖を羽織って坐っていた。かれは痩形のすこし疳持ちらしい、見るからに弱々しい男で、うす化粧でもしているかと思われるように、その若い顔を綺麗に光らせていた。お浜はその長火鉢の向うから彼の少し皺めている眉のあたりを不安らしくながめた。
「ほんとうに気分が悪いの。振出しでも買って来てあげましょうか」
「なに、それ程でもないのさ」と、紋作は軽く笑った。
「でも、きょうもまた稽古を休むんでしょう。阿母さんがさっきそんなことを云っていました」
「なにしろ、頭が重いから」と、紋作は気のないように云った。
「だからお薬をおのみなさいよ。初日前にどっと悪くなると大変だわ」
「悪くなれば休む分のことさ。今度の芝居はあまり気が進まないんだから、どうでもいい。いっそ休む方がいいかも知れない」
十一月の末の時雨れかかった空はまた俄かに薄明るくなって、二階の窓の障子に鳥のかげが映った。お浜は長火鉢に炭をつぎながら呟いた。
「おや、鳥影が……。