Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
もう五ツ半頃でしょう。そろそろおやすみになったらどうです」
「はい」と、云ったばかりで、おげんはやはり素直に起ち上がりそうもなかった。
「早く行ってお寝みなさい」と、澹山は優しい声ながらも少し改まって云った。
「はい」
彼女はやはり強情に坐り込んでいた。そうして、重い口をいよいよ渋らせながら云い出した。
「あの、わたくしのような不器用なものにも絵が習えましょうか」
「誰でも習えないということはありません」と、澹山は、ほほえみながら答えた。
「では、これからあなたの弟子にして、教えていただくことは出来ますまいか」
澹山は返事に少し躊躇した。もとより良家の娘が道楽半分に習うというのであるから、その器用不器用などは大した問題でもなかったが、澹山の別に恐れるところは、彼女が絵筆の稽古をかこつけに、今後はいっそう親しく接近して来ることであった。しかし今の場合、それをことわるに適当の口実をも見いだし得ないので、結局それを承知すると、おげんは初めて座をたった。
「では、きっとお弟子にしていただきます」
そこらの茶道具を片付けて、かれは自分で澹山の寝床をのべて、丁寧に挨拶して出て行った。