Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
主人の其月もまだ老い朽ちたという年でもないから、ひとり者の主人と若い奉公人とのあいだに、近所で噂するような関係があったとすれば、なにかの事情から、お葉が主人を殺害して、自分も身を投げて死んだものと認められないでもない。ほかに情夫でもあって、お葉が主人を殺したのならば、当人が自滅する筈はあるまい。あるいは何者かが其月を殺し、あわせてお葉を池のなかへ投げ込んだのかも知れない。下手人が手をおろさずとも、お葉がおどろいて逃げ廻るはずみに、自分で足をすべらして転げ落ちたのかも知れない。しかし表の戸も明けてあり、寝床も敷いてないのであるから、それが宵のうちの出来事らしく思われるにも拘らず、近所隣りでこれほどの騒ぎを知らなかったというのは少し不思議であるが、大事件が人の知らない間に案外易々と仕遂げられた例はこれまでにもしばしばあるので、検視の役人たちもその点にはさのみ疑いを置かなかった。ただ、其月を殺したのはお葉の仕業か、あるいは主人も奉公人も他人の手にかかったのか、この事件の疑問は専らその一点に置かれているので、水にぬれたお葉の死骸は念を入れて検められたが、別に手がかりとなるようなものも見いだされなかった。