Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
「旦那がた、御苦労さまでございます」
ひとりの男が自身番のまえに浅黒い顔を出した。かれは三河町の半七であった。八丁堀同心の三浦真五郎は待ち兼ねたように声をかけた。
「おお、半七、遅いな。貴様の縄張り内で飛んでもないことが始まったぞ」
「それを聞くと、わたくしもびっくりしました。で、もう大抵お調べも届きましたか」
「いや、ちっとも見当が付かない。死骸はここにある。よく見てくれ」
「ごめんください」
半七はすすみ寄って、そこに横たえてある男の死骸をのぞいた。男は手織り縞の綿衣をきて、鉄色木綿の石持の羽織をかさねていた。履物はどうしてしまったのか、彼は跣足であった。半七は丁寧に死骸をあらためたが、やはり何処にも致命傷らしいあとを発見することが出来なかった。
「どうも判りませんね」と、彼も眉をよせた。「まあ、ともかくも其の現場を見とどけてまいりましょう」
役人たちに会釈して、半七は雪達磨の融けたあとを尋ねて行った。そこらには雪どけの泥水と、さんざんに踏みあらした下駄の痕とが残っているばかりで、近所の子供や往来の人達がそれを遠巻きにして何かひそひそとささやき合っていた。