Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
「ふだんから寡口な人で、わたくし共とも朝夕の挨拶をいたすほかには、なんにも口を利いたことがございませんので、どんな用のある人か一向に存じません」
「定宿かえ」
「去年九月頃にも十日ほど逗留していたことがございまして、今度は二度目でございます」
「酒をのむかえ」と、半七は又訊いた。
「はい。飲むと申しても毎晩一合ずつときまって居りまして、ひどく酔っているような様子を見かけたこともございませんでした」
「誰かたずねて来ることはあったかえ」
「さあ、誰もたずねて来た人はないようです。朝は大抵五ツ(午前八時)頃に起きまして、午飯を食うといつでも何処へか出て行くようでございました」
「五ツ……」と半七は首をかしげた。「田舎の人にしては朝寝だな。そうして何時に帰ってくる」
「大抵夕六ツ(六時)頃には一度帰って来まして、夜食をたべると又すぐに出て行きますが、それでも四ツ(午後十時)すぎにはきっと帰りました。なんでも近所の寄席でも聴きに行くような様子でしたが、確かなことは判りません」
「金は持っていたらしいかえ」
「宿へ初めて着きました時に、帳場に五両あずけまして、大晦日には其の中から取ってくれと申しました。