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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme

Aozora Bunko

その賑やかな群れのあいだを苦労ありそうにしょんぼりとうつむき勝ちに歩いている一人の若い男が、その蒼ざめた顔をあげて半七の姿をふと見付けると、なんだか臆病らしい眼をしながら彼のあとをそっと尾けて来るらしかった。

最初は素知らぬ顔をしていたが、こっちの横顔をぬすむように窺いながら三、四間ほども付いて来るので、半七も勃然として立ち停まった。

「おい、大哥。わっしになにか用でもあるのかえ。花見どきに人の腰を狙ってくると、巾着切りと間違げえられるぜ」

睨み付けられて男はいよいよ怯えたらしい低い声で、ごめんなさいと丁寧に挨拶して、そのままそこに立ちすくんでしまった。気障な野郎だと思いながら、半七もそのまま通り過ぎたが、よほど行き過ぎてから彼はふと考えた。あの若い男の人相や風体は巾着切りなどではないらしい。勿論こっちで見覚えのない男であるが、或いは向うではこっちの顔を見知っていて、なにか話し掛けようとしながらも、つい気怯れがしてそのままに云いそびれてしまったのではあるまいか。もしそうならば暴い詞をかけるのではなかったと、半七は少し気の毒になって元来た方をふり返ると、男の姿はもう見えなかった。