Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
じゃあ、おめえはその徳という野郎の居どこをさがして引っ張って来てくれ。おれはその馬道の質屋へ行って、もう少し種を洗ってくるから」
「わっしも行きましょうか」と、善八は顔をつき出した。
「そうよ。又どんな用がねえとも限らねえ。一緒にあゆんでくれ」
「ようがす」
善八を案内者につれて、半七が馬道へゆき着いた頃には、このごろの長い日ももう暮れかかって、聖天の森の影もどんよりと陰っていた。
「なんだか忌な空合いになって来ましたね」と、善八は空を仰ぎながら云った。
「むむ。まったくいやな空だ。今夜は一つ降るかも知れねえ」
旋風のような風が俄かにどっと吹き出して、往来には真っ白な砂けむりが渦をまいて転げまわった。ふたりは片袖で顔を掩いながら、町屋の軒下を伝って歩いていると、夕ぐれの色はいよいよ黒くなって来て、どこかで雷の声がきこえた。
「おや、雷が鳴る。妙な陽気だな」
そのうちに、ふたりは河内屋の暖簾の前に来たので、善八はすぐに格子をくぐって、帳場にいる番頭に声をかけた。
「もし、番頭さん。親分がすこし用があるんだ。ここじゃあいけねえから、表までちょいと顔を貸してくんねえ」