Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
四
灯のあかるい往来へ引き摺ってゆかれたのは、白地の浴衣を着た二十歳あまりの女であった。かれはさのみ醜い容貌ではなかったが、白く塗った顔をわざと物凄く見せるように、その眼のふちを青くぼかしていた。口唇にも歯齦にも紅を濃く染めて、大きい口を真っ紅にみせていた。とんだ芝居をする奴だと、かれは半七に笑われた。
自身番へ引っ立てられた時、かれは狂女を粧ってその場を逃がれる積りであるらしかったが、あとから彼の男と庄太とが大きい黒犬の死骸を引き摺って来たので、かれの狂言は結局不成功に終った。
彼女はお紺という獣つかいであった。子供のときから熊や狼をつかうことを習いおぼえて、以前は両国の観世物小屋に出ていたこともあった。方々の寺内で縁日の小屋掛け興行に出たこともあった。近在や近国の祭礼などに出稼ぎに行ったこともあった。本職の芸当はなかなか上手であったが、かれはいろいろの悪い癖をもっていた。女に似あわない大酒は、こういう商売の者として大目にも見られたのであるが、そのほかに誰にもゆるされないのは、かれの手癖の悪いことであった。それは殆ど天性ともいうべきで、お紺は手あたり次第に楽屋じゅうのものを何でも盗んだ。