Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
わたくしは急に怖くなって、急いで家へ逃げて帰ってまいりました」
半七は幸次郎と眼をみあわせた。
「そうして、その化け物はどっちの堤下へ投げられたんですえ」
「川寄りの方でございます」
「なるほど不思議なことがあるもんですね」
勘定を払って、二人は怱々にそこを出た。
四
「親分。そのお化けというのは河童ですね」と、幸次郎はささやいた。
「ちげえねえ。たしかに河童だ」
粗忽しい武士はほんとうの河童だと思ったかも知れないが、それは河童の長吉に相違ないと半七は思った。両国の河童は真っ黒に塗った尻の右と左に金紙や銀紙を丸く貼りつけて、大きい眼玉と見せかけ、その尻を無造作に観客の方へむけて、四つン這いに這いまわるのを一つの芸当としている。酔っている武士と、臆病な亭主とは、ゆう闇の薄暗がりでその尻の眼玉におどろかされたのであろうが、半七から観れば、その尻の光ったというのが却ってほんとうの化け物でない証拠であった。
「なにしろ、早く堤下へ行ってみようぜ」
亭主の教えてくれたのは此処らであろうと見当をつけて、二人は隅田川に沿うた堤下に降りると、岸と杭とのあいだに挟まって何か黒いものが横たわっているらしかった。