Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
云い聞かせて、半七は早々に家を出た。吾妻橋を渡って中の郷へさしかかると、その当時のここらは田舎である。町屋というのは名ばかりで百姓家が多い。時にしもた家があるかと思えば、それは「梅暦」の丹次郎の佗び住居のような家ばかりである。ふだんから往来の少ない土地であるから、雨あがりのぬかるみは深い。半七も覚悟して日和下駄を穿いて来たが、その下駄も泥に埋められて自由に歩かれないくらいである。
それをどうにか通り越して、南蔵院という寺の前から、森川伊豆守の屋敷の辻番所を横に見て、業平橋を渡ってゆくと、そこらは一面の田畑で、そのあいだに百姓家と植木屋がある。長五郎の家をたずねるとすぐに知れた。
大きい旗本屋敷に出入り場もあり、娘を浅井の屋敷に勤めさせて相当の手当てを貰っている為であろう、長五郎の家はここらでも目立つほど大きい構えで、広い植木溜めにはたくさんの樹木が青々とおい茂っていた。門口には目じるしのような柳の大木が栽えてあって、まばらな四目垣の外には小さい溝川が流れていた。その土橋を渡って内へはいると、鶏がのどかそうに時を作っているばかりで、家内はしんかんと鎮まっていた。