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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme

Aozora Bunko

不幸後まだ間もないのであるから、それも無理はないと思いながら、半七は入口らしい方を探してゆくと、南向きの縁さきへ出た。ここにも見上げるような椿の大木が、紅いつぼみをおびただしく孕ませていた。

「御免なさい」

二、三度呼ばせて、奥からようよう出て来たのは、四十五六の女房であった。これがお早の母であろうと想像しながら、半七は丁寧に会釈した。

「実はわたくしは築地の浅井さまへ多年お出入りを致して居ります建具屋でございますが……。このたびは何とも申し上げようもない次第で……。早速お悔みに出る筈でございましたが、かぜを引いて小半月も寝込んでしまいまして、ついつい延引いたしました」

用意して来た線香の箱に香奠の紙包みを添えて出すと、女房は嬉しそうに、気の毒そうに受け取って、これも丁寧に礼を述べた。いかに多年の出入りでも、特別の関係がない限りは、妾の親許まで悔みに来る者はない。正直らしい女房は、建具屋と名乗って来た男の厚意をよろこんで、早速に内へ招じ入れた。半七は奥へ通って仏壇に焼香して、ふたたび元の縁さきへ戻って来ると、女房は茶や煙草盆の用意をしていた。彼女は果たしてお早の母のお富であった。