Japanische Klassiker mit Furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Lesen Sie 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 67.333 Zeichen · 134 Bildschirme
「ちょっと、これを兄さんにかしてね」
一太郎君はそう言って、その筆入をだいじそうに持って、自分の勉強部屋に入りました。そして、机のひきだしから拡大鏡を取出し、筆入のふたを取って、その裏表を熱心にのぞきこんでいましたが、しばらくすると、なにを見つけたのか、
「あ、あったぞ、これだ、これだ」
と、さもうれしそうにつぶやくのでした。皆さん一太郎君は、いったい何を発見したのでしょう。
さて、そのあくる日は、朝からシトシトと雨の降りつづく陰気な日でしたが、一太郎君は何か楽しい事でもあるらしく、いそいそとして学校へ出かけました。
生徒たちは、広い雨天体操場に入って、授業のはじまるのを待つのでしたが、駈けまわるもの、とっくみ合いをするもの、あちらでもこちらでも、ワーッ、ワーッと、おもちゃ箱でもひっくり返したようなさわぎです。
一太郎君は、その中から「一日一善」の六人のお友だちをさがし出して、みんなに昨日の事をたずねてみましたが、誰も僕がやったのだと言うものはありません。妙子ちゃんを助けてくれたのは、どうもその六人のうちの一人らしいのですが、みんな知らぬ顔をして、笑ってばかりいるので、どうしてもわからないのです。