Japanische Klassiker mit Furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Lesen Sie 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 67.333 Zeichen · 134 Bildschirme
外科の手術をする時に、患者の神経をしびれさせておく注射はあるけれど、あの注射のききめは、ごくわずかの間で、トックリバチのように長くつづきはしないからね。
だから、トックリバチの赤ちゃんの食料は、生きているのだ。青虫どもは逃げだすような力はないけれども、口でものをかんだり、もくもくと身うごきすることぐらいはできるのだよ。
ところで、ここにじつに不思議なことがある。いいかね、トックリバチの卵は、水晶のようにすき通った細長い卵でごく小さな弱々しいものだ。また、卵をやぶって生まれてくる幼虫も、小さなうじ虫みたいなもので、食料の青虫たちが、ちょっとでも、身動きすれば、おしつぶされてしまうぐらいだ。餌になる青虫の方が、トックリバチの赤ちゃんよりも、ずっとずっと大きいのだからね。たとえからだがしびれていても、だまっておとなしく赤ちゃんに食われてしまうはずはないのだよ。
ちょうど人間の赤ん坊を、十何匹の牛がかたまって眠っているまん中へ、ほうり出しておくようなもので、もし牛が身動きすれば、赤ん坊はおしつぶされてしまう。トックリバチの赤ちゃんは、それと同じようなあぶない食料の中にいるのだ。