Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ますおとし

枡落し

山本 周五郎

Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

そのときおうめが、紙に包んだ折りを持ってこっちへ来た。

「はい、芳っさんからのお土産」と云っておうめはそれを母に渡した、「並木町の山城屋のかば焼よ」

「まあそんなことまで」おみきは芳造に眼で礼を云った、「いろいろ散財させちゃって済みません」

「その折りのまんまでね」芳造はいそいで話をそらした、「皿へのっけて蒸すんだって、葉蘭が敷いてあるから、蒸しあがったら折りから出さずに、喰べるんだそうです」

蒲焼の折詰は山城屋が初めてくふうしたものであり、ほかの鰻屋ではまだどこでもやっていないのだ、と芳造は云った。

「芳っさんが注文しておいて、あたしたちはべつの料理屋で喰べたの」おうめは珍らしくうきうきと云った、「あたしね、このごろおっ母さんが寝酒を飲むことを話したのよ、そしたら芳っさんがそんならかば焼がいいだろうって、それで」

「いやだね、みっともない」おみきは娘をにらんだ、「寝酒を飲むなんて、大げさなこと云うもんじゃないよ」

そんなことはない、決してそんなことはない、と芳造はちからをこめて遮った。ながいあいださんざん苦労してきたのだ、寝酒くらい飲むのはあたりまえだし、そのほうがきっと躯にもいいにちがいない、と云った。