Japanische Klassiker mit Furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme
そう云う言葉つきには、これまでにない親身な、情愛と劬りが感じられ、おみきは娘と彼のあいだに、なにか新らしい変化が起こったのだなと思った。
「おっ母さん晩ごはんまだなんでしょ」と手早く着替えをしながら、おうめが云った、「かば焼を蒸しましょうか」
「ありがと、もう少しあとにしましょう、なんだかいまは喰べたくないの」そして芳造を見た、「芳っさんもうおそいわ、お店へ帰らなくっちゃいけないんでしょ、せきたてるわけじゃないけれど、お店にいるあいだは」
「いまお茶を淹れるところよ」
「お茶はいいよおんめちゃん」芳造はそう云ってから、おみきに微笑した、「店のほうは休みだから構わないんだけれど、おんめちゃんを送り届ければ役目は済んだんだから、これでもう帰らしてもらいます」
「おっ母さんたら」とおうめがこっちへ出て来ながら云った。
「いいんだ、いいんだよ」芳造は手を振って云った、「門口まで送って帰るって云ったろう、それがつい、おばさんの顔が見たくなったもんであがり込んじまったんだ」
「でも、もしよかったら」とおみきが口ごもった。芳造は頭を振り、また微笑した。
「女世帯のうちに若い男が、うろうろしているのはみっともねえもんだ、おんめちゃんは慥かにお届け申しました、わたしはこれで帰ります」