Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ますおとし

枡落し

山本 周五郎

Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

いまお茶を淹れるのに、とおうめが云い、芳造は立ちあがった。気を悪くしたんじゃあないだろうね、とおみきも立ちあがったが、それ以上ひきとめようとはしなかった。芳造は明るい調子で別れを述べ、あっさりと帰っていった。

「ひどいわおっ母さん、芳っさんはもう少しここにいたかったのよ」とおうめは脇を見ながら涙声で云った、「――あの人はおっ母さんのことを、自分のおっ母さんのように思ってる、ずっとまえからそう思ってたって云ってたのよ」

おみきは自分の気持をひき緊めるような、しらじらとした口ぶりできいた、「中村座の番付は、買って来ておくれだったかい」

「忘れちゃったわ」おうめは火鉢の火に炭をたしながら云った、「初めて聞いたんだけれど、芳っさんは悲しい育ちかたをしているんだって、生みのおっ母さんというのがひどい人で、芳っさんに七つぐらいのとしからしじみ売りをさせたんですって、そして自分は御亭主をこき使いながら、よその若い衆と酒を飲んで」

「よしてちょうだい」おみきはおどろくほどきっぱりと遮った、「話だけ聞いて人のよしあしを云うもんじゃないよ、人間にはみんなそれぞれの事情があるもんだ、その人の心の中へはいってみなければ、本当のことはわかりゃしない、――御徒町にいたとき、二人でいっしょに死のう、と云ったときのことを考えてごらん、まさか