Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
つまらないことをとお笑いになるかもしれないが、あたしにはこの夢が幸運の前兆のように思える。あなたが衣冠束帯で、金色の光に包まれていたのは、こんどの事が首尾よくおさまって、あなたがひじょうな栄達をなさる、という夢知らせだと思う。
そして手紙は、かよともども、一日も早くおいで下さるように待っている、とむすんであった。
読み終った甲斐は、夢の中で自分が衣冠束帯を着けていた、というところを、放心したような眼で見まもった。衣冠束帯に笏を持って、金色の光に包まれていた。おくみはそれを幸運の前兆だという。夢などはたあいのないもので、なにか意味があろうなどとは考えたこともないが、いまの甲斐はふしぎとその箇所にひきつけられたし、おくみの云うとおり、今日の評定ですべてが好転するかもしれない、という気持さえ感じられた。
――そんなことを頼る事はみれんだが、しかし今日だけはそうあってもらいたい。
甲斐はなにかに祈りでもするように、ひろげたままの手紙を持った手を膝に置いて、頭を垂れながら眼をつむった。
麻布屋敷では、安芸の住居の玄関さきで、祝いの盃がようやく終り、安芸が立ちあがった。