Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
又之助は、はいといい、いま酒をあがっていると答えた。
「よし、飲ませておけ」と甲斐は云った。
又之助が去ると、甲斐は鉤に餌を付け、淵の中へ投げてから、話しを続けた。――溺れた甲斐を救ったのは、小人衆の女房であった。縫い物をしていると、川のほうで妙な音がする、ごぼごぼという、空壜に水の入るような音と、ひゅう、と息を吸うような音が、川上のほうから、しだいに下って来る。なんだろうと思って、濡縁へ出てみると、甲斐が仰むけになって流れて来る。瀬波の低いところで息を吸い、高いところでは顔が水に沈むため、ごぼごぼと鳴るのであった。
その女房は、はだしでとびだしてゆき、人を呼びながら救いあげた。すると、幼ない甲斐の手が釣糸をつかんでおり、その先に大きな鯉がかかっていた。その鯉があまりに大きく、しかもじっと動かずにいるので、女房は恐怖におそわれ、「川の主だ」と叫んだということであった。
甲斐はそこで暫く黙っていたが、やがて低く、喉で笑った、「その女房は糸を切って、鯉を逃がした、それからながいこと、私が川の主を釣って、その主にひきこまれて、危なく溺れそうになった、という噂が広まったものだ」