Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
「いらっしゃいよう! ……さ、今、水門をあけさせますから!」
馬から降りたスパセニアを先立てて、私たちはまた草むらを水門の方へ向いました。が、今の私にはもう、そんな溝渠を見たいという願望なぞは、少しもありません。それよりも、もっともっとジーナと二人っ切りで、話していたくて……話ができなくても二人っ切りでただじいっと腰かけてたくて、スパセニアの後からついて行きながらも、ともすればシーナの手が握りたくて、からだが触れ合うたんびに、胸を轟かせていたのです。
そして漠然とした未来を、取り留めもなく考えていました。私の父も母も、私がたった一人の息子ですから万事に干渉して、その五月蠅いこと、五月蠅いこと! 何でもかでも子供みたいにおせっかいを焼いて、つくづくひとり息子なぞに生まれるものではない! と、先から感じていたのです。
何の事件も起っていない今日までですらそれですから、九州のこうこういうところで知り合った混血児の娘と、結婚したいなぞといい出したら、母なぞはびっくりして、眼を回してしまうかも知れません。その驚き顔が、今から眼の前に散らついてくるようです。