Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
上品な黒のアストラカンの外套を恰好よく着こなした、スッキリとした姿! 屹っと見据えていた切れ長な眸許……口惜しそうに涙ぐみながら、睨み付けていた姿!
なぜスパセニアは、私を睨んでいたのだろうか? 何を私は、スパセニアに怨まれるようなことを、したというのだろうか? ともかくジーナもスパセニアも、東京にいることだけは、間違いない……返事の来ないこないだの電報のことを思い出して、その解けぬ謎を考え倦ねながら、私はいつまでもいつまでも薄暗の中に突っ立っていました。
「ハッキリとは記憶しませんが、それは何でもジーナに逢ってから五、六日の後、四月の二十五、六日頃ではなかったかと、思います。その時そんな凄まじい事件が、姉妹の上に起ってようなぞとは夢にも私は……し……知らなかった……の……です……」
と青年の言葉が、糸のようになって消える……。
「おや! どうかなさいましたか?」
と私が覗き込んだ刹那、突然青年は、さし俯いた。ゴホゴホと絶え入れるように咳入って、片手がまさぐるように、枕許のハンカチへ行く。苦しげに口許を抑えたハンカチへ、突然べっとりと真っ赤な血が!
「ど、どなたかいられませんか? 早く、早く、来て下さい!」