Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
が、しいんと静まり返って、もちろん、人っ子一人の姿もあるものではありません。湖畔には、朽ちた巨木があの時同様影を浸して、そこに凭れて疲れをやすめていると、あの時、こうして一緒にかけて、故国のユーゴの話をしてくれたジーナの優しい俤が映ってきます。同時に、馬で草原の彼方から駈けて来る、上気したようなスパセニアの姿も……。
ジーナ! スパセニア! 僕だよう、やっと訪ねて来たんだよう! と、声を上げて叫びたいような気がしてきます。が、無人の境では、大声を上げることさえ何か空恐ろしいような気がして、私はまた起ち上がりました。
もう一度引っくり戻って、あの立ちかけの地下工事場のあたりを探し、どうどうと飛沫を上げている断崖のふちまでいって見、最後には海水着の姉妹と三人でもつれ歩いた、あの溝渠の傍らの小径に沿うて、一キロばかり第一の曲り角のあたりまでもいって、空しくまた引き揚げて来た時には、私は疲れと暑さで、くたくたになりました。
滝のような汗がシャツを浸し、ワイシャツをグッショリにし、おまけにこういうことになろうとは、夢にも思いませんでしたから、また今度も昼食の用意はなく、腹は空るし、喉は渇くし、暑さで眼も眩みそうな気がしました。