Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
そして二人に勧められるまま一先ず山を下ることにしたのです。が、二人ともこの先まで、道がわかるところまで送って行くと、私と連れ立って山道を辿り始めました。
疲れ切っていましたからハッキリとは覚えませんけれど、その時はもう五時過ぎぐらいではなかったかと思われます。山の陰、木の陰は薄らとしていましたが、遠くの空は八月ですから、まだ明るく冴えていました。私も草臥れていましたし、二人も沈み切って、お互いに黙々として歩いていたのです。
私が口を開かなければ、二人とも別段口をきくでもなく、ただ時々眼が合うと、ジーナもスパセニアもにっこりとほほえんでいましたから、私にも別段それ以上、奇異な感じも起らなかったのです。
暗い湿っとりした谷間を通って、道はまた次の山へ登りになって、やっと最後のこんもりとした山の中腹を回ると、眼下遥かの向うに、村らしい家々の屋根が、模糊たる夕靄の中に点々と眼に入りました。
「あれが水の尾ですか?」
言葉はなくて、ジーナがかすかにうなずきました。
「ではもう、いいですよ……もうわかりますから……明日は早く訪ねて行きますから、さ、貴方がたはもう、お帰りなさい、帰りが大変だから……」