Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
左手の草むら隠れの小径は、あの二人が現れて来た道です。
「あの道でやしょう? 旦那様! 出て来たと仰しゃるのは……?」
「そう……あの木の下あたりから……」
「間違えねえ、旦那様! 確かにお嬢さんの幽霊だ! ほら、早く来て御覧なせえ! ……そこを駈け上ると、見えまさア! ずっと向うにお墓がある!」
急に勇み立った四、五人の後から、急いで小径を駈け上ってみると、なるほど、なるほど、見えます、見えます! 左手遥かに眼の下が開けて雑木林の陰になって、道はうねうねと夏草や熊笹隠れに、眼も遥かに下方へ下って、なんという素晴らしい眺めでしょう?
四周を紫色や濃紺の山々に画られた、夏草茂る盆地……ゆるやかな一面の大野原……しかもしかも、その野草の中ほど小高い丘の上に二、三本の松の木がヒョロヒョロと聳えて、その根元にハッキリと並んだ二つの墓……。
もう疑いはありません、ジーナとスパセニアの墓です。そしてそしてあの墓の下に、額を撃たれて糜爛したジーナと、スパセニアの亡骸が私を恨んで、横たわっているかと思うと、見えも恥もなく、総毛だってガタガタと私は、震え出しました。
もう間違いはなく、あの二人は亡霊だったのです。