Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
持って来た薔薇を、看護婦が生けている。
「長い間お眼にかかりたいと思っておりましたが……先生よく来て下さいました……」
と喘ぐように、病人がいう。
「……有難うございました……何とお礼を……申上げていいか……」
声が嗄れて、語尾が口の中で消えて、痛々しい。
「去年から……一遍先生にお眼にかかって……話を聞いていただこうと思っていましたが……ほんとに、よく来て下さいました。……もううれしくて……うれしくて……」
痰が喉に絡まるのであろう、看護婦が綿棒で取ってやっている。
「手紙が書けないものですから……使いにわけを話して……お迎えに上げたのですが……私のいうことが、ちっとも伝わりませんで…」
「…………」
もっと気の利いた使いが来て、事情さえわかればこんな酷くならないうちに、来たものを! と再び後悔した。
「看護婦に頼んで、お手紙も差上げましたが……それも伝わらなくて……でも……よく来て下さいました。ほんとに何と……お礼を申上げて……よろしいやら……」
疲れるとみえて、言葉を切っている。話をしても差し支えないかと聞いたら、どうぞ! という看護婦の返事であった。