Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
今の気持では不安で仕方がない。現に今夜も、あぶなく俊三におどりかかって、のど首をしめつけてやりたくなったのではないか。学校でだって、変な眼で僕を見たり、なぞのような言葉で遠くから僕をひやかしたりする生徒を、そのまま見のがして置くのは実際たえがたいことだ。僕は朝倉先生の教えをうけて以来、敵という観念を否定しつづけて来た。そして愛と調和と、そしてそれに出発した創造のみが人間の生活にとって有用だと信じて来た。だがそれは僕の頭の中だけのことでしかなかったのだ。僕は現に、僕の周囲にまざまざと沢山の敵を感じている。僕が子供のころに感じていたのと同じように、ごくわずかな人間をのぞいては、すべての人間が敵のように感じられるのだ。そして、敵と感じたものに対しては徹底的に戦わないではいられないのが、僕の運命づけられた性格だ。それが呪わしい性格であることは僕自身でよく知っている。しかし、僕が僕の幼いころの運命を僕自身で抹殺することが出来ないかぎり、或はそれを無力にするだけの新しい運命が僕にひらけて来ないかぎり、それをどうすることも出来ないのが現実の僕の性格だ。それは僕にとって、本能だとさえいえるのだ。