Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
」
次郎はまだつっ伏したままである。
「そりゃ私も、みんなにもう一度集まってもらって、ゆっくり話して置きたいことがないではない。しかし集まらない方がいいんだ。」
「どうしてです。」
次郎は、涙にぬれた眼をしばたたきはがら、にらむように先生を見た。
「集まったために不幸を見る人が、君らの中から一人でも出てはならないんだ。」
朝倉先生の調子には、何か悲痛なものがあった。次郎はテーブルの一点に眼をすえて默りこんだ。その眼はしだいに乾いて来た。乾くにつれて、つめたい異様な光がその底から漂った。しばらくして、彼は、
「わかりました。」
と、庭ごしにじっと遠くの空を見たが、その口は固く食いしばっており、頬の筋肉はぴくぴくと動いていた。
「ばかばかしくても、ひかえるところはひかえていた方がいいんだよ。何しろ、当局の神経のとがりようはまるでヒステリーだからね。」
朝倉先生はなだめるように言ったが、
「しかし、こんな調子では、日本もいよいよけちくさくなるね。よほど君らにしっかりしてもらわなくちゃあ。」
次郎の食いしばった口は、いよいよ固くなるばかりだった。
「果物でも持って参りましょうね。