Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
「いいんですか、そんなことなすって?」
「よくも悪くも、人間の真実は押し潰せませんよ。」
と、俊亮も真顔になった。いくらか熱気をおびた眼が、じっと先生を見かえしている。
「しかし、当局の神経の尖り方は想像以上ですよ。」
「よくわかっています。しかし、そう何もかも遠慮するには及びますまい。先生が白鳥会員と顔も合わせないでこの土地をお去りになるんでは、もうそれだけで、人間としての完全な敗北ですからね。」
朝倉先生は眼をつぶり、しばらく沈默がつづいた。すると朝倉夫人がいかにも心配そうに、
「でも、万一にも、そのために、生徒さんたちの中にご迷惑をなさる方がありましては。……主人はそれを心配いたしているのでございますが。」
「あるいは、一人ぐらいは迷惑するものがあるかも知れません。しかし、あるとすれば、それはおそらく次郎でしょう。」
朝倉先生は眼を見ひらいて、俊亮の顔を食い入るように見つめた。俊亮はその眼をさけるようにしながら、
「次郎は、しかし、そうなっても、決してうろたえはしないだろうと思います。」
またしばらく沈默がつづいた。大沢と恭一と俊三とが、朝倉先生と俊亮の顔をしきりに見くらべている。