Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
」
次郎はやけに草を引きぬき、旱天つづきでぼさぼさした畑の土を、あたりの青い菜っ葉にまきちらした。それは、道江や、馬田や、自分自身に対する腹立たしさからばかりではなかった。道江をまるで眼中においてない俊三の態度が、変に彼の気持をいらだたせたのである。
しかし、夕方になって風呂にひたった時には、彼はもう何もかも忘れて、一途に血書のことばかり考えていた。
湯ぶねのふちに頭をもたせて、見るともなく眼のまえの棚を見ていた彼は、ふと、その上に、父の俊亮がいつも使う西洋かみそりがのっているのに眼をとめた。彼は、めずらしいものでも見つけたように、いそいで湯ぶねを出てそれを手にとった。そしてその刃をひらいて、しばらくじっと見入っていたが、やがて指先で用心ぶかくそれをなでると、またそっともとのところに置き、何か安心したようにからだをこすりはじめた。
夕飯をすましてからの彼は、門先をぶらぶら歩きまわったり、二階の自分の机のそばに坐りこんだりして、はた目には何かおちつかないふうに見えたが、頭の中では、血書の文句をねるのに夢中だった。簡潔で、気品があり、しかも強い感情のこもった表現がほしい。