Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
きく気になれなかったのである。
街角に立って考えこんでいた次郎は、思いきったように道を左にとった。
朝倉先生の家の玄関はひっそりしていた。案内を乞うと、裏口から奥さんがたすきがけのまま出て来て、
「まあ、本田さん、しばらくでしたわね。さあどうぞ。先生は書斎ですわ。」
次郎は、強いていつもの通りの気安さをよそおって、靴のひもをといた。
「昨日はお父さんがいらっして下すって、きれいなお卵をたくさんいただきましたわ……鶏の方も、本田さん毎日お手伝い?」
「ええ、ときどき。」
次郎は廊下をとおって書斎に行った。朝倉先生は机の上に巻紙をひろげてしきりに手紙を書いていた。もう五六通書きあげたらしく、封をしたのが机のすみに重ねてあった。次郎が敷居のすぐ近くに坐ってお辞儀をすると、
「やあ、いらっしゃい。……ついでにこれだけ書いてしまうから、ちょっと失敬するよ。」
次郎は縁側ににじり出て、あぐらをかき、ぼんやり庭を眺めた。午後三時の日が、庭隅の夏蜜柑の葉を銀色にてらしているのが、いやにまぶしかった。
五六分もたつと、朝倉先生は手紙を書き終えて、自分も縁側に出て来た。
「昨日はお父さんにいいものをいただいてありがとう。