Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
たしかに思慮の足りないやり方だし、それに文明的ではないからね。しかし人間の真実な気持というものは、そのあらわれ方がどうであろうと、やはりうれしいものだよ。私はそれを味わうだけは素直に味わいたいんだ。むろん私には私の行く道があるし、君の真実な気持を味わったからって、その道まで変えるわけにはいかないがね。」
次郎は感激と失望の旋風の中に、やっと身をささえているだけだった。あふれて来る涙が膝の上につっぱった腕をすべって、まだらに縁板をぬらした。
「それはそうと――」
と、朝倉先生はわざと次郎から眼をそらしながら、
「学校の様子はどうかね。血書はやはり出したのか。」
「ええ……出しました。」
「君自身で?」
「いいえ、総務二人に新賀と梅本とが代表になったんです。」
「むろん校長先生に出したんだろうね。」
「ええ。しかし、もう県庁でも見ているんでしょう。校長先生が県庁にそれをもって行かれたそうですから。」
「そうか。」
と、朝倉先生はしばらく考えこんだ。それから、伸びあがるようにして、生垣ごしに門の方を見、何度も首をふっていたが、
「そうか。じゃあ君はきょうここに来るんじゃなかったね。