Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
禅道がその極致です。大死一番、無の境地に立って、いっさいに立ち向かおうというのです。そこにお気がつかれなくちゃあ、せっかくの静坐のあとのお話も、青年たちを未練な人間に育てあげるだけの結果になりはしませんかな。」
朝倉先生も、さすがにもう相手になる気がしなかったのか、
「いや、今日はいろいろお教えいただいてありがとう存じました。いずれ私も十分考えてみることにいたしましょう。」
と、おだやかに話をきりあげてしまった。
次郎はその時、朝倉先生が、かつてかれに、つぎのような意味のことを、いろいろの実例をあげて話してくれたのを思いおこしていた。
「みごとに死のうとするこころと、みごとに生きようとするこころとは、決してべつべつのこころではない。みごとに生きようとする願いのきわまるところに、みごとに死ぬ覚悟が湧いて来るのだ。生命を軽視し、それを大事にまもり育てようとする願いを持たない人が、一見どんなにすばらしい死に方をしようと、それは断じて真の意味でみごとであるとはいえない。」
次郎にとっては、この言葉は朝倉先生のいろいろの言葉の中でもとりわけ重要な意味をもつものであった。