Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
次郎は、一人になると、急にほっとしたような、それでいて何か固いものを胸の中におしこまれたような、変な気持ちになり、もう一度広間にはいって、窓によりかかった。今日は式の時間がのびたので、午後の行事は、三十分ほどくり下げて一時半からということになっていた。それまでには、まだ十五六分の時間がある。いつもなら、そうしたわずかな時間でも、ぼんやりしてはいないかれだったが、今日の式場と食卓とでうけた刺激の余波は、かれに小まめな仕事をやらせるには、まだあまりに高かったし、床の間の「平常心」の掛軸は、やはりかれにとっては全くべつの世界の消息をつたえるものでしかなかったのである。
かれは、荒田老と平木中佐の顔を代わる代わる思いうかべながら、陽を背にして眼をつぶっていた。すると、だしぬけに、
「どうだ、つかれたかね。昨日から、ずいぶん忙しかったろう。」
そういってはいって来たのは田沼先生だった。
次郎は、目を見ひらき、あわてて居ずまいを正した。
「そう窮屈にならんでもいい。」
田沼先生は、次郎とならんで窓わくによりかかりながら、
「今度の塾生には、変わったのが一人いるらしいね。