Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
というのは、今朝の板木が、あまりにもながく鳴りつづけたからだ。あれほど辛抱づよく、しかも、あれほどおだやかに鳴りつづけたということは、一方では、あれを打っていた一人の塾生の心の深さを物語るが、また、一方では、その一人をのぞいた多数の塾生の心の浅さを物語ることにもなったのだ。君らの大多数は、板木を打った一人の塾生があれほどの誠意を示したにもかかわらず、容易にそれにこたえようとはしなかった。君らにとっては、その誠意よりも、寝床の中のぬくもりのほうがはるかにたいせつだったのだ。あたたかい寝床の中で、うつらうつらと、できるだけ眠りを引きのばすことを、人間の誠意以上に、たいせつにする心、これは決して深い心だとはいえまい。……もっとも、君らの中には、内心それをいくらか恥じていたものも、おそらく幾人かはあったであろう。気がとがめるといった程度なら、あるいは君らのすべてがそうであったのかもしれない。しかし、それも結局は何の役にもたたなかったのだ。では、なぜ役にたたなかったのか。今、君らに真剣に考えてもらいたいのはこの一点だ。――」
静かな空気の中を、えぐるような沈黙の数秒が流れたあと、朝倉先生の言葉が沈痛につづけられた。