Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
次郎は思わず息をのんだ。
「道江は、今でも、ぼくにとっては、親類の愛すべき女の子以上の存在ではない。ただその当時と、いくぶんちがっている点があるとすると、それは、彼女がこの数年の間に読書によってその当時よりはるかに尊敬すべき女性に成長しているということだ。――」
次郎は、のんだ息を大きく吐いた。そのあと、深い呼吸がしばらくとまらなかった。
「こう言うと、君は、今度はぼくのほうが本心をいつわっていると思うかもしれない。しかし、その疑いを解くのはさほど困難ではない。そのたしかな証拠は、もし君がちょっと骨折ってそれをさがす気にさえなれば、すくなくとも二つは見つかるはすだ、その一つは、先月はじめ、ぼくが父さんに出した手紙であり、もう一つは、それから少しおくれて朝倉先生に出した手紙だ。どちらも、道江との婚約問題についてぼくの考えをたずねられたのに対する返事だが、父さんあての返事には、婚約は、相手のいかんにかかわらず、自分が社会的に独立する目あてがはっきりするまでは絶対にやりたくない。もし道江がそれまで自由な立場にあれば、その時になって、あらためて考えてみることにしたい。