Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「日本では、雪の日によく血なまぐさい事件が起こるものだね。四十七士の討ち入り、桜田門外の変、……しかし、今度の事件ほど暗い運命的な感じのする事件はないね。何だか、国民全体が浅はかな野心のためにくずれて行くような気がするよ。」

朝倉先生は、これまで、どんな悲観的な問題について話しても、きく人の気持ちまでを陰気にさせるようなことはなかった。先生の言葉の奥には、いつも強い意志が動いていたからである。しかし、今日はそうでなかった。次郎は、きいていて、くずおれそうな気持ちになり、雪の反射で異様に明るい室の空気の中に、しょんぼりと眼をふせていた。

すると、朝倉先生は、急に自分をとりもどしたように、椅子から立ちあがり、窓のほうにあるきながら、言った。

「しかし、できてしまったことは、できてしまったことだ。悔んでもしかたがない。……すべては、どうなるかでなくて、どうするかだ。友愛塾は友愛塾として、できるだけのことをすればいい。」

それから、次郎のほうを向いて、

「今日は幸い小川先生もおいでくだすっているし、ご都合がついたら、午後までお残り願おう。塾生には、休みの時間が来ても、そのことについては何も話さないでおいてくれたまえ。