Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
日の出がせまって、雲が金色に燃えあがっていた。数秒の後、まぶしい深紅の光が弧を描いてあらわれたと思うと、数十本の櫟の幹の片膚が、一せいにさっと淡い黄色に染まり、無数の動かない電光のような縞を作った。
「しずかであたたかい色だね。」
朝倉先生は、櫟の林に眼をこらしたまま、ささやくように言った。夫人も次郎も、言葉の意味をかみしめながら、かすかにうなずいただけだった。
太陽がすっかりその姿をあらわしたころ、今度は次郎が言った。
「あの櫟林の冬景色は、たしかにこの塾の一つの象徴ですね。ことにこんな朝は。――まる裸で、澄んで、あたたかくて――」
「うむ。しかし本館からはこの景色は見られない。惜しいね。」
「すると、この住宅の象徴でしょうか。しかし、それでもいいですね。――先生、どうでしょう。櫟の林にちなんでこの住宅に何とか名をつけたら。」
「ふむ。……空林、空林庵はどうだ。つめたくて、すこし陰気くさいかな。」
「しかし、空林はすばらしいじゃありませんか。ぼく、すきですね。庵がちょっとじめじめしますけれど。」
「それはまあしかたがない。こんな小さな家には、庵ぐらいがちょうどいいよ。