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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

と、田沼先生は、ちょっと言いよどんだが、

「ご側近には、湯浅内大臣のような方もおられます。内大臣はあくまでも筋の通った方だと私は信じます。」

「内大臣には危険はなかったのですね。」

「ええ、ご無事でした。」

と、田沼先生は何かを回想するようにしばらく眼をつぶったが、

「実は、今朝ほんの五分間ほどお目にかかって来たのです。」

みんなは眼を見はった。田沼先生は、しかし、もうそれ以上そのことについて何も言おうとはしなかった。沈黙がかなりながいことつづいた。次郎はかって経験したことのない異様な興奮と、厳粛な気持ちとを同時に味わいながら、じっと先生の横顔を見つめていた。すると、朝倉先生が、沈黙をときほぐすように、たずねた。

「叛乱をおこした若い将校たちは、すると、皇道派ですね。」

「ええ、まあそうだと見なければなりますまい。統制派と見られていた教育総監の渡辺大将が遭難されたのですから……。しかし、叛乱がいずれの側からおこされたかということは、今はもう問題ではありますまい。罪は軍全体にありますよ。」

「それは、むろん、そうです。もっとつきつめると、国民全体にあるとも言えますね。