Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
次郎が郷里の中学校を追われてから、もうかれこれ三年半になる。父の俊亮が退学の事情をくわしく書いて朝倉先生に出してくれた手紙の返事が来ると、かれはすぐ上京して先生の大久保の仮寓に身をよせた。先生の上京からかれの上京までに二十日とは日がたっていなかったので、かれが着京したころには、先生自身もまだ十分にはおちついていず、運送屋から届けられたままの荷物が、玄関や廊下などにごろごろしていた。次郎は、はじめの十日間ばかりは、朝倉夫人と二人で、毎日その整理に没頭した。
「本田さんとは、よくよくの因縁ですわね。同じ学校を追われた先生と生徒とが、また同じ家に住むなんて……」
次郎を東京駅にむかえてくれた朝倉夫人は、電車に乗って腰をかけると、すぐしみじみとそういったが、次郎は、荷物を整理しながらも、夫人が心の中でたえず同じ言葉をくり返しているような気がして、うれしくてならないのだった。
先生は、毎日外出がちだった。帰りも、たいていは夜になってからで、夕食をともにすることもまれだった。たまに家におちつく日があっても、夫人とも、次郎とも、めったに口をきかず、何か考えこんでは、心にうかんだことをノートに書きつけるといったふうであった。