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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

恥ずかしいことですが、私には、それさえ今はよそごとのような気がしてなりません。お笑いくださいませ。」

次郎は読み終わったあと、しばらくは化石したようにすわっていた。胸の中には、熱いとも冷たいともしれないものが、激しい渦を巻いてその突破口を求めていた。

(何という醜い一途な執念深さだろう。そして、何という落ちつきはらった我ままな要求だろう。愛情の対象として完全に自分を無視しておきながら、道江は一たいどんな返事を自分に期待しようというのだ。)

そう思うと、かれはにえるような怒りを感じた。

しかし、道江の執念を醜いと思う心は、すぐかれ自身にもはねかえってきた。

(道江に何の罪がある。道江はただ自分を信じてすべてを自分に訴えているだけなのだ。それを醜いと思う心こそ、何にもまして醜い心ではないか。我執と自負と虚偽とのわなにかかって身もだえしている嫉妬心の亡者、それ以外に今の自分に何が残されているというのだ。)

憎悪と自責とが恋情の燈火のまわりをぐるぐると回転した。それは際限のない回転だった。

いっそうかれをみじめにしたのは、道江の手紙が、かれに返事をせき立てていることだった。