Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
「つい二三日前。――荒田老人から、田沼先生を通じて申し入れがあったんで、そうきめたんだ。こないだ君もきいて知っているだろうと思うが、やはりこれも、私設青年塾堂の全国的連合組織を作るための準備工作だそうだ。」
「どうしてそれをお断わりにならなかったんです。」
「表面、悪いことではないし、それを強いて断わるのは現在の客観的情勢が許さないのでね。」
「しかし、先方の肚はまるでちがったところにあるんでしょう。」
「むろんちがっているだろう。……まあ昔でいえば、道場やぶりというところだろうね。」
次郎は、そんなことを平気で言う朝倉先生が、ふしぎでならなかった。まさか先生が、時代の重圧に負けてやけくそになるわけがない。そうは思うが、やはり何となく不安である。かれはだまって先生の顔を見つめた。すると先生は、その澄んだ眼をぱちぱちさせながら、
「道場やぶりがこわいかね。」
次郎はめんくらった。同時に闘志に似たものがかれの心にうごめいた。
「そんなことないんです。」
と、かれはおこったように答え、きっと口をむすんだ。
「こわくなけりゃあ、そうむきになって拒絶することもないだろう。