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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

小関氏は、朝倉夫人がたびたび茶を入れかえにはいって来て、そのたびごとにすすめても、見向こうともしなかったのである。

二人の沈黙は、それでも、初めの三四十分間は、さほど息苦しいものではなかった。というのは、地域別にわかれた双方の塾生たちが、塾内をくわしく見てまわるのには、少くともそのぐらいの時間が必要だったし、そしてその間は廊下にはたえずさわがしい人声と足音がきこえ、塾長室の戸がひらかれて、中をのぞきこまれることさえたびたびだったからである。

しかしそのさわぎが治まって、塾生たちがそれぞれ割りあてられた室に落ちついてしまうと、ちょうど、音をたててぶっつかりあっていた浮氷が急に一つの氷原にかたまったような沈黙が支配した。それはごまかしのきかない沈黙だった。二人はめいめいにテーブルの上にあった新刊の雑誌にでも眼をとおすよりしかたがなかった。

そのうちに、小関氏はひょいと立ちあがって、一人で室を出た。便所にでも行ったのか、と朝倉先生は思っていたが、そうではなかった。小関氏は、塾長室の窓から見える草っ原に、十人あまりの青年たちが円陣を作っているのを認め、そのほうに出かけて行ったのだった。