Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
その日は、次郎にとって、友愛塾はじまって以来の暗い、うつろな日だった。恋のみか、生命をかけた仕事までが根こそぎになったという意識が、かれの心から考える力をも感ずる力をも完全に奪ってしまったかのようであった。かれはもう朝倉夫人に慰めを求めたいという気持ちさえ失ってしまっていた。そのくせ、一ところにじっとしてはいなかった。つぎからつぎに、こざこざした仕事を求めて塾内をあるきまわった。そして、ながい間の習慣に従って、まちがいなく、それらを果たしていった。ちょうど正確な機械ででもあるかのように。
夕方、べつにする仕事も見つからなくて、寒い塾庭を一人でぶらついていると、大河無門がうしろからかれの肩をたたいて言った。
「本田さん、ぼくもききましたよ。」
次郎が虚脱した眼でかれの顔を見つめていると、
「塾は今度きりで閉鎖になるんですってね。」
「ええ、どうしてわかったんです。」
「小母さんにききました。」
次郎は塾が閉鎖になることは、塾生たちにはまだ秘密にすべきことだと思っていた。それを朝倉夫人がどうして大河にもらしたのだろうと、それが不思議でならなかった。大河は、しかし、平気で、