Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
次郎はゆすぶられながら、干からびた眼を据えて、一心にお民の顔を見つめていたが、
「ほんとうは、僕こわしたんじゃないよ。」
それを聞くと、お民は絶望的な叫び声をあげて、急に手を放した。そしてしばらく青い顔をして大きな息をしていたが、
「もう……もう……お前だけは私の手におえません!」
彼女の眼からは、ぽろぽろと涙がこぼれていた。
恭一は心配そうに母の顔を見まもった。俊三はいつもに似ずおずおずして次郎の顔ばかり見ていた。次郎はぷいと立ち上って、一人でさっさと室を出て行ってしまった。
*
その日は土曜で、俊亮が帰って来る日だった。お民と次郎は、めいめいに違った気持で彼の帰りを待っていた。
次郎は薪小屋に一人ぽつねんと腰をおろして考えこんでいた。そこへ、お糸婆さんと直吉とが、代る代るやって来ては、お父さんのお帰りまでに、早く何もかも白状した方がいい、といったようなことをくどくどと説いた。もうみんなも、次郎を算盤の破壊者と決めてしまっているらしかった。
次郎は彼らに一言も返事をしなかった。そして、父が帰って来て母から今日の話を聞いたら、きっと自分でこの小屋にやって来るに違いない。