Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
「何だい、こんな石ぐらい。」
仲間の一人がそう言って、すぐ石に手をかけた。石は、しかし、容易に動かなかった。するとみんなが一緒になって、えいえいと声をかけながら、それをゆすぶり始めた。まもなく、石の周囲に僅かばかりの隙間が出来て、もつれた絹糸を水に浸して叩きつけたような草の根が、真っ白に光って見え出した。
次郎は、大事なものを壊されるような気がして、いらいらしながら、それを見ていたが、
「馬鹿! みんなでやるんなら、動くの、当りまえだい。」
と、いきなり彼らを呶鳴りつけた。
「なあんだい、一人でやるんかい。」
みんなは手を放した。
「当り前だい。僕だって一人でやってみたんだい。」
「何くそっ。」
最初に石に手をかけた仲間が、また一人でゆすぶり始めた。が、一人ではどうしても動かなかった。
「よせやい。動くもんかい。」
次郎はそう言って雑嚢を肩にかけると、さっさと一人で帰りかけた。
「馬鹿にしてらあ。」
仲間達は、不平そうな顔をして、しばらくそこに立っていたが、次郎がふり向いても見ないので、彼らも仕方なしに、ぞろぞろと動き出した。
だが、土台石も、夏が近まるとすっかり取り払われて、敷地は間もなく水田に変った。