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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

みんなは、顔を見合わせたきり默っていた。するとお祖母さんが、

「なむあみだぶ、なむあみだぶ。」と、念仏をとなえた。

例の老人たちがすぐそれに和した。お祖父さんも、口の中でそれを唱えながら眼をつぶったが、しばらくすると、また眼を開いて、

「俊亮、きょうは家の見納めがしたい。……未練かな。」

俊亮は、その意味がのみこめなくて、みんなの顔を見まわした。

「未練かな。」

と、お祖父さんは、もう一度そう言って、しずかに眼をとじた。

「どうなさろうというんです?」

俊亮は病人の顔を覗きこんだ。

「戸板、……戸板をもって来い、わけはない。」

病人の眼がまたかすかに開いた。

みんなはすぐその意味がわかった。で、正月に餅を並べる時の大きな戸板が、間もなく納屋から運びこまれた。そして病人を敷蒲団ごとその上にのせると、みんなでそれを抱えて、そろそろと家じゅうをまわり歩いた。

次郎は、恭一や俊三と一緒に、その後について廻ったが、人数の多いわりに、いやに静粛だった。みしりみしり畳をふむ音と、おりおり老人たちの口から洩れる念仏の声とが、陰気な調和を保って、次郎の耳にしみた。

仏間に這入ると、すでに、新しい蝋燭に火がともされていて、仏壇が燦爛と光っていた。