Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
これまでだって、僕が悪くない時に、僕を叱ったことなんか一度だってないんだから。)
が、次郎は、その時、ふと、父が非常に酒好きなことを思い出した。
父は一人で飲むだけでなく、よくいろんな人を呼んで来ては、相手をさせるのだったが、ある晩の如きは、近在のごろつき仲間と言われた五六人の若い者を呼んで来て、次郎にお酌をさせながら、晩くまで飲んだ。何でも喧嘩の仲直りらしかったが、次第に酒がまわるにつれて、ほんの一寸した言葉のゆきちがいから、また喧嘩になってしまった。最初に啖呵を切り出したのは眉の濃い、眼玉のどんよりした、獅子っ鼻の大男だった。彼は子供のころ、饅頭の売子をしていたため、「饅頭虎」と綽名されていた。彼が食ってかかった相手は、「指無しの権」だった。小指を一本切り落されていたので、そういう綽名がついていたが、青い顔の、見るからに辛辣そうな、痩ぎすの男だった。
「旦那をおいて、貴様のその言い草は何てこった。」
といったようなことから始まって、口論は次第に烈しくなった。饅頭虎が、咄々と嗄れ声で物を言うのに対して、指無しの権は、ねっちりした、しかし、突き刺すような皮肉な言葉をつかった。