Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
第一、あんな人たちと酒を飲んだりするのは、いいことだろうか。もしかすると、あんなことのために、家がだんだん貧乏になってしまったのかも知れない。)
次郎が、父に対してこんなふうな考え方をするのは、これが初めてであった。これまでにも、父が酒を飲むのを、多少うるさいとは思っていたが、その善悪などを、本気で考えてみたことは全くなかった。むしろ、父のすることなら、何でもいいことのように思えて、母に叱られながらも父のそばにくっついて、よくお酌をしたりしたものである。で、彼は、考えてはならないことを考えたような気がして、何となく父にすまなく思った。しかし、一度萌した考えは容易に消えなかった。父を大事に思えば思うほど、いよいよそのことが気になって来た。
「次郎は何になるつもりじゃ。」
正木のお祖父さんが、ふと、そんなことを訊ねた。
次郎はお祖父さんも、自分と同じように、父のことを考えているような気でいたのに、ふいにそう訊ねられたので、変な気がした。それに彼は、さきざき何になるなどということを、これまで一度だって考えたことがなかった。彼の友達の中には、よく大将になるとか、大臣になるとか言って、得意になっている者もあったが、彼としては、そんなことを考えるよりも、彼に親切な人が誰だかを知ることの方が、よほど大切だったのである。