Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
」
次郎は満足しなかった。しかし、それ以上、強いて訊ねてみたい気もしなかった。そして暫くは、二人の足音だけが、闇に響いた。
「次郎――」
正木の老人は、村の入口に来たころに、やっと再び口をひらいた。
「世の中で一番偉い人はな、お前の父さんのように、どんな人でも可愛がってやれる人じゃ。父さんが、今日、いろんなものを売ったのも、困っている人たちを、これまでに沢山助けたため、金が足りなくなって来たからじゃ。お前、父さんのように偉い人になれるかの。嫌いな人が沢山あったりしては駄目じゃが。」
次郎の頭には、すぐ祖母と母との顔が浮かんで来た。そして老人の言葉を、自分に対する訓戒と考える前に、父と彼ら二人とを心の中で比べていた。
「母さんも、お祖母さんも、だから偉くないや。」
次郎は吐き出すように言った。
「そうか。……では次郎はどうじゃ?」
「僕も偉くないや。」
次郎の答は、老人の予期に反して、極めて率直だった。
「偉くなりたくないかの?」
「なりたいけれど、僕……」
「駄目かな。」
「だって、僕……乳母やと一緒だといいんだがなあ。きっと偉くなれるんだけれど……。」
老人はぴたりと歩みをとめた。