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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

めいめいの前には、擂鉢型の浅い灰色の鉢に、一本の擂古木をそえたのが一つずつ置いてある。やがて、蝋油を溶かした黄褐色の液体が、一定の分量ずつ、男衆によって鉢に注がれる。注がれた人は、すぐ擂古木をとって、それを掻きまわさなければならない。掻きまわしているうちに、はじめさらさらした蝋油が、次第にさめて、白ちゃけたどろどろの液になって来る。適当の時期を見はからって、男衆はそれに一柄杓の灰汁を注ぎこむ。この時、まぜ手は油断してはならない。精一ぱいの速度で擂古木をまわさなければならないのである。灰汁が注がれると、鉢の中の蝋油は、忽ちのうちに真っ白に変り、同時に、擂古木が少々の力ではまわせないほど、ねばっこくなって来る。すると男衆は、すばやくその鉢を抱えて、予め水を打ってある他の鉢に、その中身をうつす。蝋はそこで徐々に固まっていって、鉋をかけられ、干場に出されるのを待つのである。

こうした作業が、毎日夜明けから日暮まで、二三日もつづけて繰りかえされる。その間には、婆さんたちの口から、腹をよらせるような面白い話も出れば、娘たちの喉から、美しい歌も流れる。食事以外には定まった休憩の時間はないが、一鉢あげるごとに、随意に渋茶も飲めるし、また薩摩芋や時には牡丹餅などの御馳走も、勝手にいただけるのである。